「日本人の五感について」
先日、パリにて「ジャポニスム2018」の一環として人間国宝出演の能狂言の舞台があり、パリ日本文化体験ツアーの方々と鑑賞してきました。
今回は日本政府が主催でしたので、能舞台を分解して船便で運びパリで組み直した初めての本格的な舞台で演じられました。
アリーナ会場に能舞台を設置し、3階席までフランス人で超満員という大人気ぶりにまずは驚きました。
実際に舞台が始まってさらに驚いたことは、寝ているフランス人が1人もいないこと。
私は、2階席の最後尾の席だったため会場全体が見渡せたのでわかったのですが、一階席の日本人ツアーの方々は相当ぐらんぐらんに寝てました(^^)
これは、ここに限ったことではなく、国内でも能舞台の鑑賞の際にはよく見る光景で、能役者が下手だと寝られないというくらい一般的なことのようにお聞きします。
演者と演奏とコーラス(地謡)の織り成すリズムがトランスに導いていき、ゆめうつつになって行くからだともいわれます。
今回のパリの舞台は、日本最高峰の能狂言役者が渾身の舞台を務めているので、最高のトランス状態になるのは当然だと思います。
では、フランス人は 何故寝ないのか?
じつは、明確な答えはまだないのですが、五感の感覚が日本人と海外の方々とでは違っているのではないかと思うのです。
以前お聞きした漫画の翻訳で、静かな場面では「シーン」という文字が画面に描かれているのですが、翻訳できない(理解できない)ので、「シーン」という文字を削除していたそうです。
静かな状態を言語として脳内変換することがないからだそうです。
しかしながら、最近では日本の漫画に慣れてきて「sheeen」と翻訳変換するようになってきたとお聞きしました。
日本人の脳は自然界の音を言語脳の左脳で聞き、西洋の方は右脳で聞くとお伺いしたことがあります。
もしかしたら、日本語を話す脳の五感の捉え方と、そうでない場合とでは根本的な状況理解が違っているのかもしれないと思うのです。
もし、五感レベルの認識が違っているとしたら、世界地図の捉え方も大きく違っているかもしれません。
自分が当たり前だと思うことが当たり前ではないかもしれないという事はある意味 驚きです。
地図は、まさしく現実の土地そのものではない。
日本人の五感についての考察はこれからますます興味深く探求していきたいと思います。
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